緊急事態宣言で要請された「テレワーク」がもたらす3つの効果
本日、令和2年(2020年)4月7日(火)、新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大している事態を受けて、安倍総理大臣が「緊急事態宣言」を行いました。(参考リンク)
緊急事態宣言の内容としては、ひとことでまとめるとすれば、「これ以上、感染が広まらないように、不要不急の外出を控え、自宅にいてください」という国からの要請。
それに伴い、オフィスでの仕事は原則自宅で行うよう、事業者には「テレワーク」の実施が求められるようにもなりました。
私は15年ほどテレワークという働き方をしているので、まったく抵抗はなかったのですが、いきなりテレワークの実施を求められ、混乱している事業者の方なども多いようです。
私自身の経験から言えば、テレワークには大きく3つの効果があると考えています。
今回は、経験をもとに、テレワークについて簡単にまとめてみましたので、ご一読ください。
緊急事態宣言で要請された「テレワークの実施」
専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。そうすれば、爆発的な感染者の増加を回避できるだけでなく、クラスター対策による封じ込めの可能性も出てくると考えます。その効果を見極める期間も含め、ゴールデンウイークが終わる5月6日までの1か月に限定して、7割から8割削減を目指し、外出自粛をお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見より引用(全文はこちら)
これまでもテレワークの実施などをお願いしてまいりましたが、社会機能を維持するために必要な職種を除き、オフィスでの仕事は原則自宅で行うようにしていただきたいと思います。どうしても出勤が必要な場合も、ローテーションを組むなどによって出勤者の数を最低7割は減らす、時差出勤を行う、人との距離を十分に取るといった取組を実施いただけるよう、全ての事業者の皆様にお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見より引用(全文はこちら)
今回の緊急事態宣言では、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、人との接触機会を最低7割、極力8割減らすように外出の自粛が要請されました。
それに伴い、事業者に対して「テレワークの実施」を含む、ローテーション出勤や時差出勤などの取組も、あわせて求められることとなりました。
そのため、これまでテレワークを一切実施してこなかった事業者や、自宅で働くことに慣れていない人々は、かなりの混乱を招くことになりそうです。
そうならないためにも、今一度、テレワークについての理解を深めておきたいと思います。
テレワークとは?テレワークがもたらす3つの効果
テレワークとは?言葉の意味、定義について
さすがにテレワークという言葉を聞いて、「電話で仕事をすることだよね?」と思う方はいないと思いますが(いたらごめんなさい)、そもそも「なぜ、テレワークと言うのか?」という言葉の意味や定義が気になったので調べてみました。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
※「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語
日本テレワーク協会
日本テレワーク協会のサイトによれば、「テレワークとは、情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」を指し、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語のようです。
「テレ(tele)」という言葉には、離れた所という意味があったのですね、知りませんでした。
また、総務省のサイトにも「テレワークの意義・効果」というページがあり、そこではテレワークの主な形態として、「雇用型」(企業に勤務する被雇用者が行うテレワーク)と、「自営型」(個人事業者・小規模事業者等が行うテレワーク)の2種類のテレワークが紹介されています。
テレワークの効果(1)ワーク・ライフ・バランスの実現
総務省による「テレワークの意義・効果」というページをさらに読み進めていくと、テレワークを推進するとどのような効果があるのかについても記載があります。
◆ワーク・ライフ・バランスの実現
総務省「テレワークの意義・効果」より抜粋
・家族と過ごす時間、自己啓発などの時間増加
・家族が安心して子どもを育てられる環境の実現
働く側の立場で考えると、テレワークが推進され自宅で仕事ができるようになれば、通勤時間がなくなるので、そのぶん家族と過ごす時間も増えます。
また、それまで通勤電車で資格取得のための勉強をしていたような方は、自宅で落ち着いて学習する時間も増えるでしょう。
私は15年ほど会社経営をしていますが、起業当初からオフィスに出社することはほとんどなく、場所にとらわれない働き方をしています。
従業員から言わせると、社長がいないほうが仕事がはかどるらしく、本当にありがたい限りです。
そのため、今回の緊急事態宣言の中にあった「オフィスでの仕事は原則自宅で行うように」という要請は、すでにそのような働き方を15年間続けていたので、まったく抵抗がありませんでした。
2017年11月22日(いい夫婦の日)に入籍してからは、妻と二人で暮らしているのですが、もともと場所にとらわれない働き方をしていたので、妻が何かあったときは常にそばにいてあげられるというテレワークの効果は、身に染みて感じています。
また、今年の夏には待望の息子が生まれてくるのですが、家族が安心して子供を育てられる環境を実現できるということにもテレワークは効果的だと思っています。
ただ、難しいのは、お子さんが「パパ、遊んで遊んで」というような時期でしょうね。
実際、私の友人は、以前からテレワークで自宅でも働ける環境にあったのですが、お子さんがまだ小さいので「仕事の邪魔をしてはいけない」ということがわからず、自宅で仕事をするのは難しいとボヤいていました。
新型コロナウィルス対策のために自宅で仕事をするようになった人の中には、私の友人と同じように、お子さんが仕事の邪魔になるという方も数多くいらっしゃるような気がします。
そう考えると、テレワークも良いことばかりではなく、小さなお子さんがいる家庭などは、オフィスに出勤したほうが仕事がはかどるという場合も、多々あるでしょうね。
現在は、緊急事態宣言の発令により「コワーキングスペース」も閉鎖されているところが多いと聞きますが、事態が収束した後もテレワークが定着しているようであれば、需要は拡大するのではないでしょうか。
先ほど例にあげた私の友人も、お子さんがいるから自宅では仕事がはかどらないという理由で、コワーキングスペースを借りていました。なので、アフターコロナで伸びる需要のひとつとして、コワーキングスペースがあげられるのではないかなと予測しています。
テレワークの効果(2)営業効率の向上・顧客満足度の向上
◆営業効率の向上・顧客満足度の向上
総務省「テレワークの意義・効果」より抜粋
・顧客訪問回数や顧客滞在時間の増加
・迅速、機敏な顧客対応の実現
「私は営業職なので、外出を自粛させられたら、仕事になりません」という男性をテレビニュースで見ました。
はたして、そうなのかな?と思ったので、営業職の友人に話を聞いてみたのですが、そうでもないようです。
友人いわく、新型コロナウィルス騒動によってテレワークが進んだことにより、ZOOMなどのオンライン会議システムを利用する人が増え、顧客との信頼関係は築きやすくなったとのこと。
さすがに今の時期は、新規営業に関しては厳しいとも言ってましたが、そのぶん既存の顧客との関係性を強固にするためにZOOMやLINEなどをフル活用しているようです。
私も独立起業する前は営業職だったのですが、その頃はスマホもZOOMもLINEもなかったので、片道1時間かけてお客様のところにプレゼンに行くこともよくありました。
当時、上司からは「営業は会ってなんぼ」と教えられましたが、これからは「会わずに売る」というのが営業マンの腕の見せ所になってくるのかもしれませんね。
要するに、テレワークでも顧客満足度の向上は可能だし、営業効率もぐっとよくなるという話です。
テレワークの効果(3)コスト削減
◆コスト削減
総務省「テレワークの意義・効果」より抜粋
スペースや紙などオフィスコストの削減と通勤・移動時間や交通費の削減等
先ほどの営業活動の例でもわかるように、テレワークが広く浸透して、顧客とのコミュニケーションがZOOMなどを活用したオンラインミーティング中心になれば、移動時間も交通費も大幅に削減できます。
私も営業マン時代は、片道1時間かけて交通費も使って足を運んだのに成約に至らなかったことは多々ありますが、オンラインミーティングならそのようなことが一切なくなるわけです。
また、総務省はテレワークの効果として「オフィスコストの削減」もあげています。
テレワークが浸透して、オフィスに出社せずに好きな場所で働ける環境が整えば、事業者としては広いオフィスを借りる必要がないので賃料は下がります。
今回の新型コロナウィルス騒動がキッカケで、オフィスを縮小する会社も増えていくのではないでしょうか。
これまでオフィスを縮小するということは、どちらかといえばマイナスイメージだったと思うのですが、自宅で働くのが当たり前になってくれば、そういったマイナスイメージもなくなるような気がします。
むしろ、「なんでそんなに大きなオフィスをかまえてるの?無駄じゃない?」と思う人が多数派になってくるのかもしれません。
私の経営者仲間には、「新卒で優秀な人間を確保するには、おしゃれなオフィスが必要なんだよ」と言って、広いオフィスを毎月高い賃料を払って頑張っている人もたくさんいます。
しかし、これから生まれてくる子供が社会人になる頃には、今の若者が「公衆電話って何?」というのと同じように、「オフィスって何?昔の人はなんで同じ場所で仕事してたの?」という認識に変わっているかもしれません。
もちろん、これは極論ではありますが、今回の騒動はオフィスそのものの存在意義を考える機会になっているのは間違いないでしょう。
ビフォーコロナ(before Corona)アフターコロナ(after Corona)
今までの世界を「ビフォーコロナ(before Corona)」、これからの世界を「アフターコロナ(after Corona)」と表現して論じる人も増えてきましたが、たしかに今が世界が大きく変わる転換期というのは、私自身も感じています。
私の妻は、現在妊娠7か月目に入っており、今年の夏には待望の息子が誕生します。
これから生まれてくる息子は、アフターコロナの時代を生きるわけです。
新型コロナウィルス騒動がいつ収束して、アフターコロナの時代の幕開けになるかは現時点では見当もつきませんが、テレワークに限らず、人々の働き方は大きく変わってくるでしょう。
今はとても大変な時期ですが、考えようによっては、テレワークを通じて理想のワーク・ライフ・バランスを実現する人が、今まで以上に増えてくる、そんな時代にさしかかっているのかもしれません。
私もこの機会に、家族との向き合い方を、さらに深く考えてみたいと思います。